3Dプリンター5種類の基本形・家庭用にも普及する成型機器について

3Dプリンターの基本となる5種類の形式について説明しています。まるで普通のプリンターを扱うような手軽さで「立体」を出力できる3Dプリンター。一昔前は高額で、産業用に使われることがほとんどでしたが、現在では家庭用3Dプリンターも数多く販売され、高嶺の花ではなくなりました。ここ数年で一般的になってきた3Dプリンターにはどのような種類があるのでしょうか?

3Dプリンターの種類

3Dプリンター

3Dプリンターには大まかに分けて5種類の基本となる形があります。まるでコンピュータから直接「立体」を生み出しているような気持ちにさせてくれる3Dプリンターですが、一昔前はひじょうに高額だったものの、最近は価格も下がり、一般家庭でも見かけるようになりました。ここからは、3Dプリンター5種類の出力形式について詳しく説明します。

光造形方式

光造形方式の3Dプリンターは、3Dプリントの「定番」とも言える出力方式です。この光造形方式が、3Dプリンターとしてはもっとも長い歴史を持ち、実は日本で生まれた3Dプリントの方法でもあるのです。
光造形方式は、液体の樹脂を材料に使用します。この液体の樹脂に紫外線を当てることにより硬化させ層を作り、その作業を繰り返すことで立体に成型していきます。液体樹脂は表面の仕上りがひじょうに美しく、精密な造形でも再現できることがメリットです。定番だからこその信頼性も備えていますが、材料費の高さ、仕上りまでのスピードが難点。そのため量産用途としては費用対効果が望めない方式です。

メリット

・スムーズな表面仕上げ
・複雑、繊細な造形にも対応

デメリット

・高い生産コスト
・量産向けではない

熱溶解積層方式

こちらの熱溶解積層方式は、最近の定番と言える成型方式です。熱溶解積層方式は、熱で溶解させた樹脂をプリンターヘッドから押し出して積層していきます。この熱溶解積層方式の特許が2009年に切れたことにより、多くの人々がこの方式を採用した3Dプリンターの製造に参入しました。熱溶解積層方式の3Dプリンターはコンパクトで、なおかつ材料が安いことから、現在販売されている一般家庭向けの3Dプリンターは、ほとんどがこの形式になっています。

メリット

・最高のコストパフォーマンス
・材料が粉末ではないので危険が少ない

デメリット

・仕上りの精度は求められない

粉末固着方式

粉末固着方式は、主に石膏を素材に利用し、プリンターヘッドから接着剤を吹くことで材料を固める方式です。石膏を使うので材料費があまりかからず、しかもフルカラーで造形できるため、建築モデル等の模型やフィギュアの製作に適しています。ただ、石膏なので衝撃に対して脆い面もあります。

メリット

・材料費が安い
・フルカラー造形
・成型スピードが速い

デメリット

・素材の脆さ

粉末燃結方式

この方式では、粉末にした材料にレーザを照射して固める方式をとります。材料となる粉末には樹脂のほかに金属も使えることが特徴。複雑で精密、そして耐久性にも優れた造形が可能です。ただ、表面仕上げがざらつき気味になるので、仕上げの美しさを求める物の製造にはあまり向きません。ちなみに粉末燃結方式の3Dプリンターは、最近になって特許が期限切れを迎えたため、値段が下降してきています。これからこの方式を取り入れた製品が増えてくることも予想され、さらに買い求めやすい価格になることも期待されます。

メリット

・特許切れによる販売価格の下降
・材料として金属が使える
・耐久性
・複雑な造形にも対応

デメリット

・表面仕上げがざらつく
・材料が粉末のため取扱注意

インクジェット方式

インクジェット方式は、液体の樹脂をジェットから噴出しつつ、紫外線を照射して固め、これを繰り返しながら層を積み上げていきます。高速で造形することが可能で、しかも解像度が高く、色つきで仕上げることができます。表面加工もスムーズなので、美しさを重視するモデルの作成に最適です。ただ、インクジェット方式ではアクリル系樹脂を使うため、剛性に難があることは課題です。紫外線を浴びることで硬化してしまうこともあり、長期的な使用を目的とした物の造形には適していません。

メリット

・精度の高い造形と高解像度のカラー仕上げ
・高速
・表面フィニッシュの美しさ

デメリット

・音がうるさい
・造形物の剛性が低く壊れやすい
・紫外線を浴びると硬くなってしまう

家庭用3Dプリンターの普及について

ここからは、家庭用3Dプリンターを取り巻く現在の状況についてご紹介します。
家庭用3Dプリンターは、2009年に熱溶解積層方式の特許が切れて以降、多くの製品が発表されました。現在、家庭用として普及しているほとんどの3Dプリンターが、この熱溶解積層方式のものです。価格もひじょうに安く、中には1万円前後で買える製品もあるようですが、やはり信頼できるメーカーの製品は数万円から10万円程度で販売されているものが多いようです。組み立て式で、完成品よりも安く購入できる3Dプリンターなども販売されているほか、3Dプリントのオンラインサービスも提供されています。3Dプリンターを導入する際、3D CADなどのソフトウェアを扱えるか否かは、実は大きなハードルです。専門的なソフトなので、操作に熟練を要するのです。しかし、小型の家庭用3Dプリンターの普及は、無料フリーデータのダウンロードサービスを生み、また、このようなオンラインサービスは、オンラインプリントや実店舗でのプリントサービスなどの新たなビジネスへとつながっています。3Dプリンターがメディアを賑わしてから数年が経ちましたが、家庭用3Dプリンターと付随するサービスは、今後も進歩を続けると考えられます。

3Dプリンターで物を出力するプロセス

3Dプリンター

3Dプリンターでもの作りを行う際のフローについてご紹介します。

3Dデータを作る

3Dプリンターを利用して造形するためには、3Dデータを用意する必要があります。3Dデータは、3DのCGやCADを使って自分で作成するか、データ配布サイトを利用する、もしくはスキャンにより作成します。家庭用3Dプリンターの項でもご紹介しましたが、3D CADなどの知識がない場合は、配布サイトを利用するのが無難でしょう。

印刷設定→印刷

プリンター付属、もしくは有料・無料で配布されているスライサー(ソフトウェア)にてプリントの設定を行います。終了したら印刷を始めます。物によりけりですが、プリントアウトが終わるまで、それなりに時間がかかります。

印刷終了→仕上げ

プリンターの動きが止まったら完成です。造形物を取り出し、必要に応じて削り等の仕上げを行います。



もちろん、製品によりプロセスが異なる場合もありますが、家庭用も業務用も大雑把な流れに変わりはありません。

3Dプリンターと他の造形方法の違い

ここまで3Dプリンターの種類や大まかな作業の流れについて見てきましたが、最後に切削など、他の造形方法との違いについて考えてみます。
3Dプリントは、これまでにご紹介した通り、どの方式であっても物体を輪切りにした平面を「積層」することにより造形します。積層は型を必要としませんが、射出や鋳造といった造形方法では、当然ながら型が必要になります。
また、3Dプリントは中空の物体や内部が複雑に入り組んだ物体でも造形することが可能ですが、切削ではこれを行うことはできません。
しかし、3Dプリンターは他の造形方法よりも生産性の面で劣り、使用できる材料にも限りがあります。




3Dプリンターの基本となる5つの方式について、その特徴やメリット・デメリットを紹介しました。
3Dプリントの産業利用、個人利用は進んでいますが、まだ従来型の造形システムと比較すると、その用途は限られます。しかし、幅広い分野において研究が進んでおり、その歩みは力強いと言えるでしょう。